肌荒れを改善する

私たちの皮膚は表皮と真皮の2層構造になっていて、からだ全体を覆っています。通常、顔や手は、常に外の環境と接していて、紫外線などさまざまな刺激を受けやすくなっています。

洗うときに強くこすってはいけないといいますが、それは、皮膚が、厚い部分でも1.5ミリほどしか無いためです。

真皮の主成分となっているのはコラーゲンですが、年齢を重ね、コラーゲンの産生が減少するとコラーゲンの層が縮小して、表皮のほうが衰えてきます。表皮は細胞がつぎつぎに入れ替わるので健康な肌を保っているのですが、やはり、同じように年齢を重ねるとともに、細胞が入れ替わるのに時間がかかるようになって、古い表皮は乾燥でハリを失い、これが肌荒れの原因になるのです。

紫外線は活性酸素を大量に発生させて肌にダメージを与えます。地表まで届く紫外線(UV)にはUVA(紫外線A波)とUVB(紫外線B波)があるのですが、皮膚に届く紫外線の割合は、UVAが約95パーセント、UVBが約5パーセントだといわれています。

UVAは波長が長いため、屋内にいたとしても窓ガラスなどを通過して皮膚に浸透し、真皮や皮下組織を傷つけ、時間が経過するとシミやシワ、たるみの原因になります。一方のUVBは真皮までは届きませんが、肌に強く作用し、皮膚を赤くして痛みや炎症を引き起こします。

紫外線は季節にかかわらず、そして曇りの日でも降り注ぎますから注意が必要です。

健康な肌のための栄養とは

肌を健康に保つためには、まず、水分補給で肌に潤いを与えることが大切です。

肌の新陳代謝を活発にするにはビタミンB群が欠かせません。コラーゲンの生成に不可欠で、活性酸素に対して強力な抗酸化作用があるのはビタミンCです。βーカロテンは、皮膚の感染に対する抵抗力を高めます。

また、ビタミンEには血液の循環をスムーズにするはたらきがあります。毛細血管の血液循環を良くして、皮膚表面の新しい細胞の生成を促すのに期待されます。

そしてもうひとつ大事なのが、必須脂肪酸です。必須脂肪酸は体内で合成できないので、食品から摂取しなくてはならない脂肪酸なのです。γ(ガンマ)リノレン酸などの必須脂肪酸は、肌に水分を閉じ込めて弾力を与えるはたらきがあります。

肌荒れを改善するために摂りたいのは

  • βーカロテン
    10~30mg
  • ビタミンBコンプレックス(B1、B2、B6)
    各10~20mg
  • ビタミンC
    1000mg
  • ビタミンE
    100~200mg

冷え症を改善する

冷え性とは実際の暑さや寒さに関係なく、異常に体の冷えを感じる状態のことです。

人間には体温を一定の温度に保つ恒常性が備わっています。体の中では、血管が収縮して熱を逃がさないようにし、蓄えられた糖質や脂肪を燃焼させ熱をつくろうとします。その熱であたたまった血液が全身を巡ることによって体があたたまります。このうちのどれかが狂ってしまうと、手足などの異常な冷えである「冷え性」が起こるのです。

また、筋肉が熱を効率的に産生するので、筋肉が少ないと冷えやすくなります。女性は男性と比べ筋肉量が少ないため、冷えやすいと考えられます。

運動をすると毛細血管の血流が良くなり末端の冷えは改善できますが、運動不足だと体液を貯留させ、いわゆる「むくみ」が起きて、特に足の冷えを助長します。

栄養不足で冷え症になる

過度なダイエットでの栄養不足も熱の産生がうまくいかない原因のひとつです。若い女性に冷えを訴える人が多いのは、まさに女性のダイエット志向が影響しているのでしょう。

食事のエネルギーを減らしても必要な栄養成分をきちんと摂取するというのは、知識や工夫がかなり必要になり、とても難しいものです。痩せている人の多くは栄養不足な状態であり、その結果、低体温の状態が続くと、基礎代謝が少なくなってしまいます。食事は、朝・昼・夕と3食きちんととることが大切です。無理なダイエットは良くありません。

ダイエットの時に注意すべき重要な点

ダイエットが習慣になっている人に不足しがちな栄養素は、タンパク質と鉄分です。両方を含んでいるのは赤身の肉や魚、卵など。こういったタンパク質は、血管の水分吸収能力を高めます。

そして、体をあたためる効果があってビタミン類を多く含む玉ねぎ、ごぼう、かぼちゃ、しょうが、にんにく、ごま、ナッツ類なども適度に摂取するよう心がけましょう。

冷え性対策に大事な栄養素はビタミンB、ビタミンC、ビタミンE、そして良質なタンパク質です。サプリメントで補給するなら、エネルギー代謝の低下による冷えを防ぐマルチビタミン、マルチミネラルです。それと、血行を良くしてホルモンのバランスを整えるはたらきがあるビタミンEです。タンパク質としてはプロテインです。

冷え症を改善するために摂りたいのは

  • マルチビタミン
    メーカーの指示量
  • マルチミネラル
    メーカーの指示量
  • ビタミンE
    100~200mg
  • プロテイン
    1回7~20g

骨を丈夫に保つ

女性は、更年期になり閉経を迎えると、それに伴って女性ホルモンのエストロゲンの分泌量が激減します。そうすると、骨粗しょう症のリスクが高くなります。骨粗しょう症は女性の病気と思われがちですが、男性の場合も骨がもろくなり、70歳を過ぎた頃から、骨粗しょう症になる人が増えるといわれています。自覚症状がほとんどないため、気づかないうちにじわじわと進行する病気です。

骨粗鬆症の原因となる病気はこちら

骨は、骨芽細胞による骨形成と破骨細胞による骨吸収が繰り返され新陳代謝がおこなわれていて、常につくり替えられています。

エストロゲンという女性ホルモンには、この新陳代謝のバランスを保つはたらきがあるのですが、閉経後の女性はエストロゲンの分泌量が減るため、骨の新陳代謝のバランスが崩れて骨密度が低下し、骨粗しょう症の状態になります。一方、エストロゲンが急激に減少しない男性は、骨密度の低下が女性よりもゆるやかだというわけです。

丈夫な骨のための栄養

骨はおもにコラーゲンなどの繊維状のタンパク質と、カルシウムなどのミネラルからできているので、これらが骨にとって必要であることがわかります。

カルシウムを骨から出し入れするホルモンの分泌にはマグネシウムが関係していて、カルシウムとマグネシウムの量は2対1の割合で摂取するのが良いといわれています。

腸からカルシウムの吸収を促すにはビタミンDが必要で、骨折のリスクを低くするにはビタミンKの摂取が大切です。コラーゲンの結合組織として、ビタミンCには骨を丈夫にするはたらきがあります。また、女性ホルモンと同様のはたらきをするイソフラボンが、骨粗しょう症のリスクを減らします。

運動で転倒を予防する

骨粗しょう症になると、骨密度が低下して骨の中がスカスカになってしまい、ちょっとしたことで骨折をしやすくなります。

さまざまな研究が行われ、骨粗しょう症の予防や改善には、食事やサプリからの栄養摂取が重要ですが、運動することも重要であるということがわかっています。

骨を丈夫に保つためには、骨に負荷をかける運動が必要です。骨の材料となる栄養素を摂っても、骨に一定の負荷をかけないと、せっかく摂った栄養が有効に活用されないのです。

高齢者が転倒して骨折した場合、治癒が難しいだけでなく、横になって過ごすことで筋肉まで弱くなってしまい、寝たきりの状態になることも考えられます。

骨を丈夫に保つために摂りたいのは

  • カルシウム
    300~600mg
  • マグネシウム
    150~300mg
  • ビタミンK
    メーカーの指示量
  • イソフラボン
    30~60mg